三代目当主・余接　その五



１１月　大江山

　忍以前の一族の健康度低下の早さが嘘のように、１歳８ヵ月の扇ちゃんの健康度は１００のまま（因みに１歳４ヶ月の余接ちゃんも同じく低下していません）。
　そして今月はいよいよ大江山への扉が開きます。

　勿論八九寺家も出撃！
　出撃メンバーは先月と同じく余接ちゃん、守、厄介、今日子さん。
　扇ちゃんは引き続き留守番。奥義持ちの彼女がいた方が有利なのは確かですが、システム的なものとはいえ忠心が全く低下しないのは、子供達が全員戦えるようになった今、もう現役引退の気持ちになっているんじゃないかと。結局忍が自分の状態を顧みず無理に討伐に行った時だけ低下したんだな、扇ちゃんの忠心…。
　

　黄川人くんも色々と話してくれました。
　…うん、頑張るからね！って普通に返す余注ちゃんに、逆に反応に困ってそう（それぞれ意味合いは違うけれど、真宵ちゃん、伊豆湖、扇ちゃん等、彼の話をまともに聞かない子が多いから）。

　赤い火は無し。手数が増えている事もあり、昨年よりは苦戦しない印象。

　そういえば厄介が仙酔酒を習得していました！これは嬉しい。



　四世代目のレベルUP。割とバランスの良い守、今日子さん、火と水は凄いけれど、土の息の根が今にも止まりそうな厄介という状況は変わらず。
　宝箱から入手した強壮薬は早速若手で振り分けます。技水薬は守→４、心火薬は今日子さん→２、体風薬は厄介→７上昇。

　途中で「ネギの大槌」を入手しつつ、たどり着いた大江山仁王門で仁王ズ戦！



　初手は今日子さん。この子本当に最速の探偵だな。まずは速風のお守りを使ってもらいます。恒例の、能力向上までの手数を増やす作戦。
　攻撃の要は守と厄介なのでまずは余接ちゃんが厄介に武人。そんな彼にすかさず鏡進言した守。分かっていてやっているのが半分、何かの賭けにしているのが半分という所か。その厄介は余接ちゃんに鏡を向けたり…この子攻撃的かと思えば割と消極的な所もあるんだよな…。今回は初遭遇の中ボスに少し驚いたか。



　一年前よりは攻撃が通るけれど、相手の一撃一撃もやっぱり重い…。でもちゃんと今日子さんが後方支援してくれているから安心して刀を振るえ守！とか思っていたら夢子を使われ命中率大幅ダウン。

　夢子を使われた直後、すかさず防御進言も入れてくる今日子さん。慌てて下手な動きをしないこの子は冷静だ…。そしてその次の、自分も防御進言挙げてくる厄介。君は仙酔酒使えるから！（苦笑）


　「厄介さん、貴方は仙酔酒習得済みです！この状態を回復できるんですよ！」
　「そうだった…」

　今日子さんはもう家族全員の術の習得具合を把握している。向上させた能力も消えてしまうけれど、一年前の攻撃全く当たらない事件のトラウマもあるので、仙酔酒を使ってもらいます。そんな厄介の術を封じにかかる痩せ仁王。本当ヤメテ！（汗）





　状態異常→回復→状態異常→回復と何だか泥仕合の様相を呈してきた仁王ズ戦でしたが、今日子さんの木霊の弓の眠り効果が発動！（肝心のスクショがないって如何いう事だ本当に…）この子本当に頼りになるな！ここから一気に攻勢に転じて仁王ズ撃破！

　仁王ズ戦に思いの外時間がかかってしまいましたが、大江京朱雀大路へ。
　ここでの鬼との戦いで今日子さんのみならず余接ちゃんもレベルUP。

　体の上昇値はほぼない所が心配ですが、余接ちゃん、心火が一番上がっているものの、次点が心水と土なんだよね…。前へ行こうとはしているんだけれど、それは決して無茶な進軍をする事と同義ではないって彼女、考えているのかも…なんて思っている間に討伐期間終了。
　最年長の余接ちゃん含め、健康度は然程低下しませんが、今回の心の上昇値からして、この子は安全を取るんじゃないか、と一度帰還する事にしました。
　この選択、本当に良かったんだろうか…。



１２月　大江山

　守元服。

　それ君のパパも言っていた（笑）。
　忍と同じで、余接ちゃんを咄嗟に浮かべちゃってそんな自分に動揺して、慌てて美人！って答えた感じ…親子揃っての同じ反応に、扇ちゃんふふっと笑ってくれるといいな。


　建造物が出来るそうな…。

　きっと、完成したら皆で見に行こうねと言っているに違いない１歳６ヶ月の余接ちゃんは健康度１００のままでしたが、扇ちゃんは流石に健康度低下開始しました…８８に。

　彼女はこのままゆるっと寿命を迎えたいのかもな…という気がしたので漢方も服用しません。本人も断りそうだしな（と、この時は思っていたんだよ…）


　先月のアクセサリー調整で今日子さんがお地母、くららを習得。

　そして先月と同じメンバーで今月も大江山へ向かいます。
　今回は大江京朱雀大路で鍛えて、去る橋の石猿田衛門を倒すのが目標。鬼朱点には挑みません。余接ちゃんとしては、ここでまだ育ち切っていない子供達に無理をさせるよりはきっちり鍛えた上で翌年、山越えを果たして欲しいと望んでいます（守も最短さえ引かなければギリギリ来年間に合うので…）。自分の役目はその為の道筋を作る事で、扇ちゃんも了承済み。

　「余接後輩…くれぐれも気を付けて」
　「うん、有り難う。あのね、扇ちゃん」
　「何ですか？」
　「ボクは帰ってくる…きっと帰ってくるよ。だけど…もしも、何かあった時には―――皆を助けてね」
　「それは随分と――――責任重大ですね」

　そんな訳で再び大江山。赤い火は無し。
　サクサク山を登っていっても宝箱の強壮薬はきっちり回収してその場でドーピング。今回手に入ったのは「技火薬」「技水薬」「技風薬」。

　厄介の技土の低さはまあ分かっていたけれど、今回あれッと思ったのが守…。お前技水低いな？改めてステータス画面を確認すると、彼、技水の素質がそもそも低いんだ…。回復系の覚えがいまいち悪かったのってその所為か！（って気付くの今か）。と、いう訳で技火薬は今日子さん→１、技水薬は守→４、技風薬は厄介→２上昇。

　時折鬼と戦いつつも、仁王門をするっと通り抜け…。

　大江京朱雀大路へ。基本的には余接ちゃんや今日子さんのくらら→背後からの回り込みですが、やっぱり祟奈鳥大将に太刀風を使われると厄介の削られ方が酷い。そして前年程ではないにしろ、やっぱり余接ちゃんにも痛い。
　そして何度目かの祟奈鳥大将チーム戦。先手が取れず太刀風のダメージ。次に手番が回って来た守。彼の手持ちの術ではどちらか一方しか回復出来ない…という状況でのこの進言。これ、余接ちゃんが厄介を優先するようにって指示したと思うんだよな。


　「守くん！回復出来るなら厄介くんを先に！」
　「あ、はい、了解です！」


　そして。

　亡者姫の自爆攻撃。お雫での回復が間に合った厄介、後列の今日子さんは平気でしたが、守が膝をつき…何より余接ちゃんがまさかの戦闘不能…そして強制敗走。
　高齢の子がこの状態で帰還すると如何なるかっていうと…。

　こうなるよ…忍野くんの時と同じだよ…。出陣前、余接ちゃん健康度下がってない！この子も長生きかもって内心浮かれていたのに…。
　イツ花もこう言うしかないよな…大江山行ったと思ったら当主がボロボロになって帰ってくるんだもんな…。




　三世代目末っ子の余接ちゃんは忍や扇に可愛がられる明るい元気っ子。とはいえ天真爛漫なだけかといえばそうでもなく、心を閉ざしていた伊豆湖に関わろうとしたり、一年前、忍が次に間に合わない状況だと分かった上で大江山からの帰還を決意したりと、それが必要であれば辛くても前に踏み出す事を恐れない子でもありました。そんな余接ちゃんの行動は、忍や扇にちゃんには心強く眩しく映っていて、だからこそ彼女が何時も笑顔でいられるようにと尽力していた…という感じです。
　あの自爆攻撃は全く想定外とはいえ、システム的な事を言ってしまえば倒れた時点で強制敗走になってしまう当主／隊長である余接を優先して回復してもよかったと思います（厄介は若いので健康度０で帰還しても助かったかもしれないし、万が一があってもママ扇ちゃんが存命なので反魂という最終手段が発動する可能性が残されていた）。だけど、余接ちゃんは誰よりも八九寺家の皆を大切に思っていた子。だから、あの時をやり直せる機会があって、その結果自分が如何なるか分かっていたとしても厄介を危険に晒すような（そして扇ちゃんを犠牲にするような）選択は絶対にしない筈なのです。
　守に自分ではなく厄介を優先して回復するように指示した。それを決して後悔していない。後に続く子供達を助けられて嬉しい。だけど、結果として後を託す為の道筋を付ける筈の戦いが呪殺の陣にすら到達出来ないまま敗走という中途半端なものになってしまったのは事実。しかも自分や忍を好きでいてくれた扇ちゃんを一人残してしまって、その彼女に後を押し付ける形で逝く事になってしまって…余接ちゃん、きっと悔しかっただろうな…。
　最後の言葉は、去来する気持ちが全部ごっちゃになった上でのものだったのかも…。



　納得も、後悔も、消化しきれないまま。

　（私に出来る事が、きっとあった筈なのに）





←三代目当主・余接その四へ　　　　　四代目当主・今日子その一へ→